退職申出に対して残留説得に応じた場合のリスクについて(その1)

皆さんこんにちわ。私はドルチェインターナショナル社長の羽田です。どうぞよろしくお願い致します。

さて、本日は転職活動中によくある話ですが、ある会社から内定を貰い、現職会社に退職を申し出たところ残留するよう説得され、説得に応じて残留した場合のリスクについてお話ししましょう。

人材ビジネスをやっておりますと、このような事例はよく起こります。たいていは上司が説得するわけですが、まれに会社として(役員や人事が)引きとめに参加し、昇給や昇進を約束して引きとめるケースもあります。

引き留め理由としては

1.今やめられては業務に重大な支障が出る。後任者が決まるまで待ってほしい。

2.今まで会社に世話になったはずだ。恩を仇で返すのか。

3.君は将来の幹部候補でみな大いに期待している。期待に応えて欲しい。

 

引き留め策としては

1.退職時期を明示してそれまでいて欲しい

2.希望の職種・職場へ配置転換する

3.脅しにかかる(賞与を出さない、退職金を出さない、あるいは内定先に悪情報を流すなど)

4.昇給や昇進を約束する

 

引き留めに応じて会社に止まった結果を見ますと10中8~9は失敗に終わります。失敗という意味は止まったことがその人のためにならなかったということです。こちらは(ドルチェは)引きとめにあって現職に止まった人にも、その後如何ですか、なにか必要があればご相談にのりますからいつでも遠慮なくおっしゃって下さいね、とフォローしているわけですが、殆どの方が半年~1年で再度仕事を捜して下さいと戻っていらっしゃいます。

 

残留が失敗だった理由は

1.引きとめが本当にその人を評価して会社のために必要な人材という判断からではなく、単に目先、その人がいなくなると仕事に穴があいて困るという理由からで、特に直属の上司はほとんどこの理由により引きとめを図ります。

  従って仕事量が減ったり人員に余裕が出てきた場合は、かえって疎ましく思われるようになること

2.一旦退職を申し出たという事実は、関係者の間で根強く記憶に残り(人事の記録にも残る)、関係者間ではその人の会社に対するロイヤリティ(帰属意識、忠誠心)に決定的な疑念として残ること(また、いつ辞めると言い出すかわからない、という疑念)

3.従って当面、その人が不要になる場面があったりすると、今度は真っ先にその人を辞めさせようと図ること(忠誠心のない人に無理に残って貰う必要はない)

4.退職させるまで行かなくても上司の態度が冷淡になり、昇給やボーナスの査定が悪くなり、昇進が遅れ、場合によっては異動(詰め替え)・転勤をさせられる可能性も出てくること

5.昇進や昇給の約束は殆どの場合空手形で履行されない場合が多いこと

社印を押した文書で昇進や昇給を約束した例はなく、例外なく上司や人事の口頭約束であり、守られないことが多い。これはその人たちが嘘をついたということではなく、約束実行時に反対が入って約束した人が抗しきれないという例が多い。すなわち昇給の約束をして4月の定期昇給時に各人別昇給を決めるときに、例えば各部門長で構成される人事委員会などで特定の人の飛び抜けた昇給は反対されることが多く、人事や上司が約束だからと言っても他の委員の人たちはそんなことは知らないと言って反対し、あるいはA君を特別扱いするならうちのB君の方が優秀だからこちらも特別扱いして欲しいというような議論になり収拾がつかず、結局特別扱いが実現しない、というケースが多い。

昇進の方はもっと極端でたいていはいますぐの昇進ではなく1~2年先には課長にしてやる、と言う類の約束が多いが、その時点まで時間がかかり、事情が大きく変わることが多く(定期の人事異動などで関係者がいなくなってしまうなど)そんな約束したっけ、という程度の結果に終わるケースが多い。

2回に分けて当社における実例をご紹介しましょう。

退職申出に対して残留説得に応じた場合のリスクについて」(その2)(その3)をご覧下さい。